鶏は見た目、名前ともに
みんなが知っている鳥ですよね。
細かくだと色々種類はありますが、
「コケコケ鳴いてトサカのある鳥」
といえば鶏をみなさん連想するはずです。
家畜としてかなり身近な鳥ですが、
最近はペットとしても飼われています。
鶏は気性が激しい鳥ですが、
ペットとして飼っていると
ある程度なついてくれるんです。
そんな鶏を飼うためには、
知っておいてほしい病気があります。
ネコの腎不全、イヌのケンネルコフの
ように、動物種によって
なりやすい病気が存在します。
症状を知っておくことで、
おうちの鶏の病気を早期発見できるかも
しれません。
そこで、メジャーな病気の症状を
紹介していきます。
鶏の病気の一般的な4種類の危険な病気とは?
比較的発生率の高い鶏の病気としては、
どんなものがあるのでしょうか。
特徴的な、または怪しいと考える症状を
覚えておくと早期発見につながります。
代表例を挙げていきます。
1.尿酸沈着症
この名前だと「何?」という
感じかもしれませんが、
これは人間でも有名な痛風。
尿酸沈着症は、その名のとおり
身体に尿酸が溜まることにより
発症します。
尿酸はタンパク質を分解したときの
最終代謝産物(身体で利用されて
一番最後に出る物質)なのです。
普段は腎臓から排泄されるのですが、
身体が排泄できないくらいの
過剰なタンパク質を摂取し続けたり
すると尿酸が溜まっていきます。
実は、鶏に限らず鳥は
尿酸沈着症になりやすいんです。
内臓型と関節型に分かれ、
内蔵型は給水量不足により起こると
言われていて全身状態の悪化が
認められるまで分からないことも多い
怖い病気。
関節型は若鳥以上に散発的に
発生するため、水不足や不適切な
栄養状態に加え元々腎臓の
排泄機能などが弱いことなどが
考えられます。
関節に結節(ふくらみ)や
尿酸塩の沈着が見られます。
関節型は人間の痛風でイメージすると
分かりやすいかもしれません。
一応治療薬もあるのですが、
鶏にとってはかなりの痛みに
苦しむことになるため、
ならないようにしっかり予防することが
大切です。
2.卵墜症
これは、簡単に言えば
身体の中で卵が落ちてしまう病気。
鶏の卵が作られるためには、
雌鶏のお腹の中で卵黄が殻に包まれる
必要があります。
卵黄のみの状態のとき、
卵黄は雌鶏の身体の中で
ブドウのように育っていきます。
この状態のときに身体に強い衝撃を
受けると、ただぶら下がっているだけの
卵黄がちぎれ、腹腔内に
落ちてしまうことがあるんです。
身体から血流をもらえなくなった卵黄は、
当然腐ったりしてきます。
このダメージが腹膜(お腹の筋肉と
内臓を隔てている膜)に
炎症を起こしたりして、
重篤な症状へとつながっていくんです。
何かに追いかけまわされたり
攻撃されたあとの雌鶏が
黄色い下痢をしたり、元気が無かったり
したら卵墜症も疑ってみてください。
3.腹水症
これは色々な病気で起こりうる、
「症状」ともいえるものです。
ただ、その中でもよく起こるのが
腹水症症候群という、肺高血圧により
起きるブロイラーの病気です。
ブロイラーは優れた個体の遺伝子を
残すためにしばしば近親交配が
繰り返されることが多く、
その結果代謝異常などの
遺伝子異常も多く発現するように
なります。
一般の人には、馴染みが薄い病気です。
分かりやすく言えば、
チワワやマルチーズが
心臓病になりやすいのと同じ理由。
特定の品種の中で、更に人間にとって
理想的な個体を増やそうとすると
遺伝子疾患も増えてしまうんです。
肺高血圧症とは心疾患の一種で、
血液のうっ滞を引き起こします。
その結果身体の中での水分代謝が
うまくいかなくなり、余分な水分が
腹腔内(本来内臓と脂肪しかない場所)
に溜まってしまうんです。
腹水は低タンパク血症(血中の
タンパク質が極端に少ない状態)でも
起きやすいので、それを
引き起こしやすい肝疾患でも
起きることがあります。
人間の肝硬変の方も、最終的には
腹水が溜まりますよね。
世界中で大きな産業被害を
及ぼしているこの病気の予防のために、
栄養的に、環境的に予防策を
講じようと専門家が頑張っています。
でも1番大切なのは、
ブロイラーの能力だけを追い求めて
近親交配を繰り返さないこと。
きちんと知識をつけ、誠実に
家禽の繁殖を行うことが重要なんです。
4.鶏マイコプラズマ病
動画は鶏の呼吸器症状の動画です。
この子も、口を開けていて苦しそうですね。
鶏マイコプラズマ病は、鶏の重篤な
風邪のようなものです。
鼻水、異常呼吸音、開口呼吸などの
呼吸器症状に加えて、顔面の硬結や腫れ、
まれに関節の痛みも引き起こす病気。
すぐに死亡するということは
少ないものの、放っておくと
もちろん肺炎になって死亡します。
群れの中での感染率も高く、
高ストレス下では簡単に
パンデミックが起きてしまいます。
マイコプラズマはウイルスよりも大きく
細菌よりも小さい微生物で、
人医領域でもマイコプラズマ肺炎などが
度々問題になりますよね。
かなりしつこい呼吸器症状を
引き起こすので、鶏がこれっぽい症状を
呈していたら早期に治療をしましょう。
届出伝染病(発生したら
必ず殺処分ではないが、国に
届け出なければいけない病気)にも
指定されているくらい、
農業に打撃を与えうる病気です。
5.ニューカッスル病
マイコプラズマは届出伝染病ですが、
こちらのニューカッスル病は法定伝染病。
主な症状はマイコブラズマと似ていて
呼吸器症状なのですが、重篤化すると
胃腸炎や神経症状も出てきます。
当然産卵率などにも影響が出るので、
ブロイラーや産卵鶏で発生すると
大変な経済的損失が出るんです。
病原体のウイルスは糞便からの
経口感染で広がっていくので、
群れの中で簡単にパンデミックを
起こします。
法定伝染病は「対象動物が
この病気にかかったら殺処分すること」と
決められている病気です。
他の例だと最近では、口蹄疫が
話題に上っていましたよね。
ワクチンで予防できるため
今はそこまで大流行を引き起こすことは
少ないですが、小規模農家や
愛鶏家のところでたまに
発生してしまうようです。
鶏が病気を発症する主な2つの原因はなんなの?
鶏が病気を発症しやすくなる条件も
あります。
これは鶏に限らずペットを含めた
他の家畜動物にも共通して言えること
なので、覚えておきましょう。
1.飼育環境
飼育環境の整備は
病気の予防のためには重要です。
過密飼育、日光不足、栄養不足など
鶏が健康的な身体を維持するために
必要な要素が不足すると
病気が発生しやすくなります。
要するに、高ストレス下だと
病気になりやすい。
過度のストレスはウイルスを
退治してくれる免疫細胞の働きを
抑制してしまうので、納得ですよね。
最近では病気の予防以外にも
動物愛護の観点からも、
経済動物に対しての飼育環境も
指導・改善しつつありますが、
ヨーロッパに比べると日本はまだまだ
狭い場所で効率的に生産する
ということを重視しがちなようです。
動物によってもストレスになる環境が
ちがうので、自分のペットが
どんな環境だと安心して暮らせるか
考えてみてくださいね♪
2.菌による感染
鶏の病気の原因になるのは
細菌以外にウイルスやカビもいます。
これらの病気を発症させる病原体に
感染することももちろんですが、
病気により調子を崩したことで
別の細菌にも感染してしまうことが
あります。
日和見感染というやつですね。
こうして複数の病原体により
身体が攻撃されると症状が
重篤化しやすいので、
普段は接してもなんともない菌でも
油断ができないんです。
鶏が病気を発症しないために行えることはある?
鶏が病気を発症しないために、
オーナーとして何ができるんでしょうか。
まずは、鶏にとってストレスフリーな
環境を整えてあげること。
完全にストレスを無くすことは
できなくても、鶏がいつも
イライラするような環境は
避けてあげてください。
清潔な住処、適度な栄養、
オーナーの愛情が鶏には必要です。
あとは、しっかりとワクチンを
接種させること。
特に、届出伝染病や法定伝染病に
分類される病気に対してですね。
イヌやネコに関しても、
ワクチンを打つことで防げる病気は
沢山あります。
「外に出さないから打たなくても良い」
なんて思わずに、きちんと
接種しましょう。
特に鳥の場合、渡り鳥も飛来するので
どこから病原体が入ってくるか
わかりません。
まとめ
鶏の重要な病気は
なんとなく分かりましたか?
他にもあるんですが、
有名なのだけでも抑えておきましょう。
- 呼吸器症状が多いので、
鼻水やくしゃみに気を付ける - 栄養のあげかたによっては
痛風になることもある - ストレスの少ない環境で暮らすことで
病気の予防になる - ワクチンをしっかり接種させる
鶏は家畜としても沢山飼育されている
鳥なので、病気に対しての規定も
徹底しています。
感染したら殺処分なんてはめに
ならないために、病気のことを
知ってきちんと予防しましょうね。
鶏の食中毒についても紹介しているので、
チェックしてみてください↓
⇒鶏の食中毒の症状とは?発症を引きこす原因と予防について徹底解説!
鳥が耐えられる菌と人が耐えられる菌は違うので
生肉には油断大敵です。